ローラーポンプと他方式ポンプの違いを比較|用途に合ったポンプの選び方
液体を移送するポンプには、ローラーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギヤポンプ、遠心ポンプなど、さまざまな方式があります。
ポンプを選定するときに大切なのは、単純に性能の優劣を比べることではありません。使用する液体の性質、必要な流量や圧力、液種変更の頻度、洗浄方法などによって、適したポンプ方式は異なります。
この記事では、ローラーポンプと代表的な他方式ポンプの違いを整理し、用途に合ったポンプを選ぶためのポイントを解説します。
ポンプは「容積式」と「非容積式」に分けられる
ポンプは、液体を送り出すしくみによって、「容積式ポンプ」と「非容積式ポンプ」に大きく分けられます。
容積式ポンプは、ローラーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギヤポンプなど、ポンプ内部の空間の容積を用いて液体を押し出します。
非容積式ポンプは、羽根車を回転させるなどし、液体にエネルギーを与える方式です。遠心ポンプなどが代表的です。
ローラーポンプとは
ローラーポンプは、軟質のチューブをローラーで押しつぶしながら回転させ、チューブ内の液体を移送する容積式ポンプです。
チューブポンプ、チュービングポンプ、ペリスタポンプなどとも呼ばれます。
液体が接触するのはチューブの内側のみで、ポンプ本体に液体が触れません。
そのため、日々のメンテナンスはチューブの洗浄または交換のみでよく、液種変更もチューブ交換のみです。また、自吸運転が可能で、チューブ径や回転数によって吐出量を調整できることから、薬液、試薬、食品原料などの定量供給にも使用されています。
ローラーポンプの詳しいしくみについては、関連記事もご覧ください。
👉️チューブ式ローラーポンプとは?チューブ式ローラーポンプとは?原理・メリット・用途をわかりやすく解説
ローラーポンプと他方式ポンプの比較表
代表的なポンプ方式の一般的な傾向をまとめると、次のようになります。
| 比較項目 | ローラーポンプ | ダイヤフラムポンプ | ギヤポンプ | 遠心ポンプ |
|---|---|---|---|---|
| 送液のしくみ | チューブを押しつぶして送液 | 膜を往復させて送液 | 歯車を回転させて送液 | 羽根車の遠心力で送液 |
| 主な接液部 | チューブ内側 | ダイヤフラム、ポンプ室、弁など | 歯車、ケーシングなど | 羽根車、ケーシングなど |
| 自吸性 | あり | あり | あり(機種による) | 一般的には低い |
| 定量送液 | 得意 | 得意 | 得意 | 負荷の影響を受けやすい |
| 脈動 | 発生する | 発生する | 比較的少ない | 比較的少ない |
| 液種変更 | チューブ交換のみ | 接液部の洗浄必要 | 接液部の洗浄必要 | 接液部の洗浄必要 |
| 高粘度液 | 条件確認必要 | 機種、液性による | 比較的得意 | 一般に不得意 |
| 主な消耗品 | チューブ | ダイヤフラム、弁など | 歯車、シールなど | シール、軸受など |
| 用途例 | 液種変更が多い 洗浄を簡単にしたい 多品種少量 | 薬液の定量注入 | 油や高粘度液 | 水などの連続大量移送 |
洗浄を簡単にしたい
多品種少量
※この表は各方式の一般的な傾向を示したものです。対応可能な粘度、流量、圧力、自吸能力などは、ポンプの構造や機種、使用条件によって異なります。
用途別ポンプ選定の目安
| 使用条件、目的 | 検討しやすいポンプ方式 |
|---|---|
| 液体をポンプ本体に触れさせたくない | ローラーポンプ |
| 多品種対応 | ローラーポンプ |
| 接液部の洗浄作業を減らしたい | ローラーポンプ |
| 少量の薬液を一定量ずつ注入したい | ローラーポンプ、ダイヤフラムポンプ |
| 比較的粘度の高い油などを連続移送したい | ギヤポンプ |
| 水などを比較的大きな流量で移送したい | 遠心ポンプ |
| 脈動をできるだけ抑えたい | ギヤポンプ、遠心ポンプなどを含めて検討 |
この表も一般的な目安です。同じ方式でも、機種によって対応できる流量、圧力、粘度、温度、材質は異なります。
ポンプ選定時に確認したいポイント
1.使用する液体
液体名だけでなく、濃度、粘度、温度、固形物の有無などを確認します。腐食性のある液体では、接液部材質やチューブ材質の耐薬品性も重要です。
2. 必要な流量
1分間に何mLまたは何L送りたいのか、連続運転なのか、決められた量を分注・充填するのかを整理します。
3. 必要な圧力と配管条件
配管の長さ、揚程、継手・ノズル、フィルター、バルブなどによって、ポンプに必要な圧力は変わります。
4. 洗浄頻度
液種変更が多い場合は、接液部を交換しやすいローラーポンプが選択肢になります。また同じ液体でも洗浄頻度の高い場合はメンテナンス性も考慮が必要です。
5. 脈動の許容範囲
ローラーポンプやダイヤフラムポンプでは、原理上、脈動が発生します。後工程への影響や必要な吐出精度を確認します。ローラーポンプでもダンパーの設置などで軽減できる場合もあります。
6. メンテナンス方法
消耗部品、交換頻度、分解洗浄の必要性、交換作業のしやすさも確認します。ローラーポンプではチューブが消耗品となるため、使用条件に合わせた点検と交換が必要です。
ローラーポンプがおすすめの用途
ローラーポンプは、特に次のような条件で強みを発揮します。
- 液体をポンプ本体に接触させたくない
- 異なる液体を頻繁に切り替える
- 洗浄時間や洗浄に使用する液体を減らしたい
- 試薬、薬液、培地、食品原料などを定量供給したい
- 自吸運転が必要
- 接液部をチューブのみで構成したい
- 使用後に流路を交換または廃棄したい
一方で、高圧送液、大流量移送、脈動を極力抑えたい工程などでは、他方式のポンプが適している場合があります。
まとめ
ローラーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギヤポンプ、遠心ポンプには、それぞれ異なる構造と特長があります。
ローラーポンプは、液体がチューブ内面だけに接触するため、液種変更や流路交換を行いやすく、洗浄作業を簡略化しやすいポンプです。
一方、薬液の定量注入ではダイヤフラムポンプ、高粘度液の連続移送ではギヤポンプ、水などの比較的大流量の移送では遠心ポンプが選択肢になる場合があります。
ポンプを選定するときは、方式だけで判断せず、使用液、流量、圧力、配管、温度、運転時間、洗浄方法などを総合的に確認することが重要です。
「ローラーポンプが使用できるかわからない」「現在使用しているポンプ方式から変更できるか検討したい」という場合は、液体名、ご希望流量、圧力、配管条件などをお知らせください。
実際の使用条件をもとに、ローラーポンプの適否や機種選定をご提案します。